電気を管理する人のイラスト

電力ひっ迫、停電が起きるとき

知っているようでよく知らない「停電」や「電力ひっ迫」のメカニズムをお伝えします。

今年の冬に初めて聞いた「電力需給ひっ迫警報」、それから約半年がたったこの夏の始まりにも聞き慣れない「電力需給ひっ迫注意報」という言葉が…

電力が足りないということは分かるけど、うーん、具体的にどういうことが起きているのかやっぱりわからない🐙💦 (タコが汗をかいちゃうほど、ピンとこない出来事ですよね)

「電力需給のひっ迫」やその先に起こる「停電」のことを、この機会に改めてお伝えします。

停電はなぜ発生するの?

停電が発生する原因としては大きく2つのパターンがあります。
1つ目は災害や事故・故障等により、お客さまへ電気を届ける電線が切れてしまったり、電気の供給設備の一部が停止することで、みなさまのご家庭への電気供給が止まってしまうパターンです。
👆 これは皆さまも想像しやすいかと思います。
2つ目は、電気の需要と供給力のバランスが崩れてしまうことで、停電が発生してしまうパターンです。これが最近よく耳にする「電力需給ひっ迫」という話題と密接に関係しています。 今回は特にこの2つ目のパターンについて、少しご説明できたらと思います。

需要と供給力のバランスはどうやって保たれているの?

まず、このバランスを説明するには電気の持つ性質に触れておきましょう。
電気はガスや水とは異なり、基本的に「貯めておく」ということが難しいエネルギーです。
もちろん、普及が進みつつある蓄電池などで、発電した電気を貯めておくことは可能ですが、何千万世帯が必要とする電気を貯めておくのはまだまだ難しいのが現状です😥
また、電気の需要(電気をこれだけ使いたいというニーズ)は、利用場所や状況、あるいは気象条件に応じてまちまちであり、コントロールすることは困難です。
そこで、「一般送配電事業者」というエリア毎に電力を確認し、電気の供給力を調整する事業者によって、需要と供給力のバランスを合わせるという作業が行われ、皆さまの元へ安定した電気が日々届けられているのです。

バランスが崩れる原因は?
なぜバランスが崩れると停電が発生してしまうの?

常に安定していることが大事なバランスですが、何かしらの原因で供給力が減少し、需要が増加すると、バランスが崩れてしまいます。
今年の冬の事例では、
⚡️ 地震の影響で火力発電所が停止 → 供給力が減少
         +
🌬 寒波により想定を上回る気温の低下が発生 → 暖房などで電力需要が増加
というイレギュラーが重なり、エリアの需要が供給力に近づいてバランスが崩れかける、ということがありました。

では、このバランスがそのまま崩れてしまったら、どうなるのでしょう?
供給力が減少したまま需要が増加してエリアの需要が供給力に近づくと、「電気の周波数」が低下し不安定な状態となります。
この電気の周波数は、人間で言えば「脈拍数」のようなもので常に安定していることが必要です。
周波数が低下すると、電気を利用している設備や、電気を生み出している発電設備そのものの稼働も不安定となり、場合によっては発電所を保護する目的で緊急停止して、さらに供給力が低下することで広範囲に影響が及ぶ可能性があります。
このような事態を未然に防ぐために、周波数が不安定になると、意図的に特定の地域に対し電力の供給を停止、すなわち停電することで需要を下げてバランスを保つことあります。
これが需要と供給力のバランスが崩れると停電につながってしまう理由なのです。

ここでひとつ、停電にまつわる都市伝説の解説を。
停電は、👆 上記で解説したように、「特定の地域に対し」起きるものなので、発生するときはあくまでも「地域ごと」であり契約している電力会社は関係ないのです。
なので、新電力だから、再エネだからと、停電の心配をする必要はありません。ご安心くださいね。

需要をコントロールすることが難しいならば、供給力を増加させれば良いのでは?と思うかもしれませんが、これもすぐに対応することが難しい課題です。
例えば…
・新しい発電設備を導入する
・既にある設備の発電量を増加させる
・他のエリアから電力を融通してもらう
といった対策が考えられますが、いずれも多くの時間と調整がかかってしまうのです。

※ 余談ですが、供給力が増加しすぎたためにバランスが崩れる、というパターンも。
よく晴れた日中に太陽光による発電量が極端に増加し、供給力が需要を上回り、意図的に太陽光発電設備を切り離すという事例がありました。
いっぱいある分には安心!ということが通用しないのが、この電気の世界なのです。いかに電気の需要と供給力のバランスの維持が大変で大切かということが分かるかと思います。

なぜ最近「電力ひっ迫」を耳にすることが多いの?

今年に入ってから、「電力ひっ迫」(= 供給できる最大電力量と需要がほぼ同じになってしまう状況のこと)をよく耳にするようになりましたよね。
どうしてこのような話題が多く挙がっているのでしょう?
大きな理由の1つは、従来の火力発電設備が減少していることです。
日本全体、特にご家庭では節電やライフスタイルの変化に伴い、電力需要そのものは長期に渡り徐々に減ってきています。
そんな中、発電設備の老朽化が進み、発電効率が悪くなり、膨大な維持費がかかってきています。将来的な需要を想定し、近年、このような老朽化した発電設備の停止が進み、供給力そのものが徐々に減っているのです。
そういった状況に、気候変動による予想を超えた電力の使用が重なり、電力ひっ迫が繰り返し起きてしまうわけです。

電力ひっ迫警報・注意報・準備情報…の違い?

「電力ひっ迫」ですら馴染みがないのに、さらに警報・注意報・準備情報だなんて🤯
一体何が違うの?
…って、そりゃ思いますよね。
現在、資源エネルギー庁や一般送配電事業者により、下記のような発信基準を設け、呼びかけをすることで、停電を発生させないように対策を打っています。
電力
予備率: 電力需要に対して供給余力がどの程度あるかを示す指標
広域予備率: 複数のエリアで融通できる電力を考慮した上での該当複数エリアの予備率
エリア予備率: エリア内の需要・供給力を基にした予備率
👆 上記、各種発信情報が発令された際には、オクトパスでもウェブサイトおよび各種ソーシャルアカウント上で、お客さまへお伝えするようにしています。

🐙 “ちょいオフ” アクションで節電に貢献しよう!

電力ひっ迫に対するアクションとして、この夏オクトパスエナジーでは、試験的ではありますが、“ちょいオフ” 節電チャレンジ* を行っています。
というのも、これだけ危機感迫るような、規模の大きいことであっても、ひとりひとりのちょっとしたアクションが、パワーになることを私たちは分かっているからです。
ぜひ、身の回りを見回して、気がついたところから、一緒にアクションしてみませんか?
例えば…
・エアコンのフィルターを掃除し、効率よく稼働させる
・トイレや洗面所など、使わない部屋の電気はこまめに消す
・炊飯器は、太陽光発電が低下して需要が上がる夕方を避けて昼間に炊いてしまう
・冷蔵庫にパンパンに食品を詰めない など
まだまだ、気づいていないだけで、ちょっとの工夫でできることがたくさんあるはずです。 👉 ぜひ、イチオシの節電Tipは#ちょいオフでシェアしてくださいね。
(* まだ全国区で、お客さまみなさまをお誘いできていないのですが、近いうちに、パワーアップしてみなさまに楽しんでもらえるようなキャンペーンへ成長させますので、それまで是非ともお待ちくださいね。)

Love and Power.

#オクトパスエナジー

投稿日2022年8月26日

投稿者

Miyoshi Nakamura

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