電気代にまつわるイラスト

請求書にある燃料費調整額(燃調費)って、一体何のこと?

「上限撤廃」のニュースで急上昇中のホットワード「燃料費調整額(燃調費)」について解説します!

電気代」 − 毎月嫌でもかかる固定費だから、1円でも安くしたいというのがみんなの本音。
使った分を請求されるものだからと、電気代の明細書をちゃんと1つ1つ見て確認したことがない人も少なくないのではないでしょうか?

実際、聞きなれない言葉が呪文のように並んでいる電気代の請求明細。
「なんだか前より高くなっている気がする…。安いプランに入ったはずなのに、どうして?」
そう思っても、合計金額を見るだけでは何が起きているのか、わかりません。

今回は、請求書の中でも最近特に皆さんに注目してほしい「燃料費調整額(燃調費)」にスポットライトを当ててご説明いたします。

💹 燃料費調整制度、燃料費調整額とは

早速、本題に入りましょう!
オクトパスエナジー請求書
(👆 オクトパスの請求書の例です。地域や月で燃料調整額の項目の金額は変動します。オクトパスに変えたらいくらになる?料金シミュレーションはコチラ

オクトパスの燃調費を確認する

改めて見てみると、多くの項目、単価が並んでいることに気づきますよね。オクトパスだけではなく、基本的にどこの電気会社の請求書でも同じように並んでいます。 👉 請求書の見方、おさらいしませんか?

ひとつひとつ項目を下がって見ていくと、、

あ、見つかりましたね!今回のテーマである「燃料費調整額単価」

この価格は火力発電に使用される燃料(原油、LNG(液化天然ガス)、石炭)の貿易統計価格に基づく調整単価のことです。

燃料価格はさまざまな要因で刻々と変わるため、経営リスクの低減とそれによる安定した継続的サービスの提供のため、多くの電力会社で導入され、それぞれのエリアや電力会社毎に設定金額が異なっています。
最近は価格の上昇の方が注目されていますが、もちろん、状況に応じては下落することもあり、毎月変動があるのも特徴です。

この燃料費調整制度導入の背景には、やはり、日本が電力を作るための燃料の資源が乏しく、国内の資源だけでは自分達で安定した電力供給を実現できないという根本的なエネルギー課題があります。

必要な燃料の多くを輸入で賄うということは、当然、他の「輸入原料」同様、国際情勢、為替レートなどから常に影響を受け変動するというわけです。
(バターの価格が上がった・下がった、という話に似ていますね)

これらの価格変動の影響を考慮・調整せずに電気料金を設計してしまうと、現在起きているウクライナ情勢などを筆頭に、世界情勢に大きな揺らぎが起きて、燃料調達や燃料価格に影響がでた時に、電力会社が踏ん張れる余力が確保できなくなるというわけなのです。
これが先に触れた「経営リスク」です。
そして、電力会社が対応できなくなる = 電力会社が潰れてしまう = お客さまに大きな影響が及んでしまうことを防ぐ、つまりお客さまと電力会社を守るため(安定した継続的サービスの提供のため)に作られたのがこの燃料費調整制度ということになります。

冒頭で述べた通り、燃料費調整額というものは、基本的には電力会社が自由に設定できるもので、エリアや電力会社毎に違う金額が設定されています。
なので、電力会社を比較する際にはここに着眼する方も多いはず。


それにしても、最近になってこれまで以上に燃料費調整額という単語を目にすることが多くなったと思いませんか?

そうなのです、その通り。
現在、エネルギー業界では、いくつかの会社が設定している燃料費調整額の「上限」がホットトピックとなっているのです。

🗞 燃料費調整額の今

大ニュースです!

今、この「上限」を設定している大手電力会社における燃料調整が、この10月には全ての会社で上限いっぱいっぱいまで到達してしまうという事態が発生します。

上限に到達したら何が起きるの?
👉 オクトパスのように上限を設けていない電力会社では、シンプルに燃料調整額が高くなって電気代に響いてきてしまいます。

それじゃあ、早く上限を設けている会社に切り替えなきゃ!
そう思いますよね。

けれど、この全ての大手電力会社で燃料費調整額の高騰及び上限への到達というのは、かつて発生したことのない異常事態であるにも関わらず、収束の見通しが立っていない、今後も続く問題となっています。
そのため、今は上限を持ち、お客さまに請求する電気代の合計金額を抑えられている電力会社も、遠くない未来には、上限価格を撤廃、もしくは引き上げをしないと事業が成り立たないというところまできているのです。
ぜひとも、目の前の金額だけに踊らされずに、少し長い目で考えてもらえると良いかと思います。

オクトパスを含め、燃料費調整額に上限を設けていない電力会社の電気代だけが、未来永劫どんどん、うなぎのぼりに上がっていくなんてことは考えにくいのです。

同じ島国、同じ資源を共有し、同じようにみんな国際情勢などにぶつかっています。
お客さまも含め、エネルギー業界全体で、同じ悩みを抱えていることをぜひ考慮の上、少し長い目でこの燃料費調整額の問題を見てみていただければと思います。

💸 ちなみに…

冒頭で触れた「電気代」に戻りお伝えしたいことが一つ。
「オクトパスに変えてみたけど、去年の同じ時期より高くなった」という声も時折いただきます。
こういった場合、去年の同じ時期に比べ燃料費調整額が高くなっているケースが多いです。

💭 東京電力エリアの請求を例にすると
2022年2月は燃料費調整額 0.74円/kWh に対し、2023年2月は 13.04円/kWh
仮に月200kWhの使用だとするならば、148円で済んでいたものが2,608円へと、同じ使用量であっても2,460円もアップしているといった現状なのです😰

オクトパスだけが高いと言うよりは、この世界的なエネルギー危機の中、元々契約されていた電力会社でも、去年の同じ時期と比べもはや同じ価格ではない可能性が高いことも、ぜひ胸に留めておいてほしいのです。

月々の電気代を見るとき、または、他社との安さを比べる際には、まず、基本料や電気使用料の単価を見て、日々使う電力量にかかってくる長期的なコストの差をご確認いただき、そして次に、「燃料調整費」の設定・変動について月々定期的に目を配っていただく、ということをオススメします。

非常に長文になってしまって、疲れてしまったかもしれませんが、このブログを読まれることで、皆さんの家計の節約やエネルギーへの関心のきっかけとなれていたら、嬉しいです。


Love and Power.

#オクトパスエナジー

投稿日2022年9月1日

投稿者

Miyoshi Nakamura

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